「はぁ?!」


「五月蝿いよ郷田」

今年のアルテミスが海外開催だと言うので参加権利を得た俺と仙道は主催者側が用意したホテルの受付カウンターにいる。

仙道の言う通り、今の叫び声は俺の物だ。

「だって、聞いてねーよ!お前と同じ部屋とか!!」

「まぁ俺も聞いては無かったさ。よく考えてみなよ、ホテルは普通ツインだろ。特にココ、南の島だぜ?」

仙道のもっともな意見にただ息を飲む。
主催者側が用意した時点で少し心配をしておけば良かった。と郷田はため息をついた。
確かにリゾート地に一人旅などはあまり似合わない。だからと言ってツインになる理由も分からないが。

仙道は受付カウンターから部屋番号が付いたカードキーを受け取り一枚を郷田に手渡した。

この部屋以外は他の参加者や、一般の観覧客等で全て埋まっていると言われれば、郷田はしぶしぶと受け取る。そしてホテルの従業員と共にエレベーターに乗り、カードキーを使い部屋に入る。

「へぇ、これはなかなか。」

「すげ…」

案内されたのはほぼ最上階に当たる部屋でアルテミス会場や遠くにバン達が言っていた大統領演説が行われる平和公園までが見渡せる。

「高校入って海外来てこんなイイホテル泊まらせてくれるなんて最高じゃないか、なぁ?」

それともお前は泊まり馴れているか?等と言われれば少しだけカチンと来たがほっておく事にした。

「つれないねぇ…」

仙道が窓際に立っている事を良い事に郷田はさっさとドアに近いベッドの脇に自分の荷物を置きベッドに寝ころんだ。

飛行機に長時間乗った後、久々にバン達に会って体中が疲れてバキバキになっていた郷田は寝ころんだ数分後には瞼を下ろし眠っていた。
それに気が付いた仙道は何時もの笑み。

「相変わらずだねぇ…郷田」








「…ん」

天井を見ていつの間にか寝てたのかと首を横に向けば目を見張る。
外はもう闇に掛かりかけ薄暗い。だがそれに驚いた訳じゃなく。

「仙…道…」

数センチ横には仙道が寝転がっていた。

何で同じベッドに居るのかとかはこの際置いておいて、何故仙道の腕が自分の上に有るのか。

「…」

考えても仕方ないかとため息をついて、隣で寝息を立てている男の肩を揺する。

「おい、仙道。起きろ。」

「…。」

「……お前起きてるだろ?」

「…脳筋にしてはよく気づいたじゃないか」

「おまっ…まあ良いや、腕どけろ」

郷田は自分の胸の上にある仙道の腕を掴みどかそうとするが、力を入れられているようでどかせない。

「おい、仙道…怒るぞ」

「怒れば?」

ああ言えばこう言う。この性格には慣れたつもりだったが、やはりまだまだ苛つく。
ギッと眉を寄せ仙道を睨むが、互いに慣れすぎたせいで睨みも全く効きはしない。

「郷田」

名前を呼ばれ胸の上の腕がするりと郷田の頬に移動したかと思えば仙道は少し起き上がってそのまま唇を合わせた。

「?!」

「マヌケ面」

一瞬で離れた唇から紡がれた言葉に郷田はワナワナと拳を震わせた。
文句を言ってやろうと口を開こうとするがまた仙道の唇が重なり、キスをしながらペロリと唇を舐められれば郷田諦めたように拳の力を緩める。

「こう言う所に来てまで…こりねーなお前…」

「こう言う所だから、だろ?」

仙道は喉を鳴らし首に巻いている物をしゅるりと取った。











5月9日の放送みてすぐ浮かんだネタだったんですが上手くまとまらなくて…。


2012/05/26

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