ちょっとお色気と言うかミカが誘ってるだけ。
郷田さんがへたれっぽい。
「待て、頼むから待ってくれ」
綺麗にされたベッドの上で俺は向かいあっている相手、と言うか俺の膝の上にちょこんと乗っている彼女の前に手を出しストップをかけた。
「? 重い…ですか?」
いや、そんな話じゃない。
そんな小さな体で重いわけがない。
「何でこうなってる」
「…?」
正直ミカとは付き合ってはいる。…が、俺も男だ。そう言う事がしたくないわけじゃない。
座高も低く、ミカは郷田を見上げる形になる。完全な上目遣いだ。
郷田は静かに息をのむ。
「ミカ、落ち着け」
「落ち着いてますよ?」
…冷静じゃないのは俺だけか。
ぐるぐると視界が回る。なんでこんな事になったんだ。
今日は別々に来て朝校門の前でたまたま会って…ミカが家に来ないかって言うから「ああ、行く」って二つ返事をしたんだよ俺が。そしたらこの状況だ。
「わー、待て待て!!」
ふっと悩みを消し冷静にミカを見たら、ミカは上に着ているパーカーのチャックに手を掛けていた。郷田は慌ててミカの手を握りしめストップをかける。
「嫌…ですか?」
「…」
「…」
「嫌じゃない」
「じゃあ、どうして?」
どうしての言葉に俺は何も言えなかった。
今の状況は男なら嬉しい状況に決まっている。
実際に嬉しい。
「…付き合い始めてあんまり日付も経ってないし、こう言う事はゆっくりでいいんじゃねーか?」
「…」
「俺は、ミカを大事にしたいんだ」
「…」
頼む、何か言ってくれ。
結構恥ずかしいんだ。
するとミカはベッドに埋まっていた郷田の手を取り、指先にキスをした。
「?!」
小さな手の平がゆっくり郷田の指先を握りしめた。
「そんな郷田さんも好き」
「そ、そうか、ありがとな」
「でも…あんまり、ゆっくりだと…拗ねちゃいますよ?」
少し頬を染めてミカは郷田に微笑んだ。
「!」
「飲み物、持ってきますね、お茶で良いですか?」
「あ、ああ」
ギシと音をたてミカは郷田の膝から退き、自分の部屋から出て行った。
あー焦った…。いや、充分ヤバかった。俺の理性が。
ゆっくりで大丈夫か…持つのか俺は…。
郷田は大きくため息を付いた。
押せ押せミカちゃんとへたれ郷田さんと言うシチュエーションが良い。
これもツイッター診断で出た奴。
2011/12/13
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