ひとつ前に上げた仙郷の空気話を檜郷で書いてみただけ。

結構甘め。
普通に恋人っぽい








「俺、レックスの空気になりたいです」

ブルーキャッツのカウンターに座る郷田は唐突に口を開いた。
カウンター内で店仕舞いを始めた檜山は手を止め、ぽかんとした顔で郷田を見つめた。

「空気…?」

「はい」

「どう言う事だ…?」

「まんまの意味ですよ」


―――寒すぎて頭イカレたのか?



季節は12月。
郷田は相変わらずの格好だ、見ていて寒い。本人だって重々承知なはずだ。
必死に檜山は眉を寄せ悩んだ。最近の中学生の考えは不思議だ。

「俺の…空気?郷田は見えない所で俺を見守りたいって事か?」

「え?あぁ、違いますよレックス。」

「?」

「俺とレックスは人間ですよね?」

「ああ」

「生きるのに空気って必要ですよね?」

「…そうだな、現に今空気を吸ってるからな」

「そう言う事です」



そう言う事?
正直何を言いたいのかまだ分からない。郷田の言った事を整理してみる。


郷田は俺の空気になりたいと言ってきた。そして空気は吸わないと生きていけない。

「! そう言う事か」

「分かりました?」

「あぁ、なるほどな。しかし随分と遠まわしで直球だな」

「だってレックスは俺の空気だから」

俺もレックスの空気になりたいんですよ。と郷田はカップで口元を隠しながら目を細めた。

檜山はそれを見つめ少し口元を緩めた。



もう、なってるよ。



そんな事を言ってしまったら郷田はどんな反応をするだろう。
秘密にした方が面白いかもな。と檜山はこの言葉を喉の中で消した。


「どうだろな」

「酷いですよ」

「空気はこうやって喋りあう事は出来ないぞ?」

「……そう言えば…そうですね」


それは困るなぁと、眉を八の字にして檜山に笑いかけた。


「空気よりももっとだよ、郷田」

「れ、レックス?!」








依存檜郷。
空気以上に互いを求める。


2011/12/10

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