「なあ仙道」
「…」
「聞いてんのか仙道」
「…」
真横から呼ばれた仙道はスラムのソファーで来る途中で買ったLBXマガジンにパラパラと目を通している。
「……仙道…」
「なんだい聞いてるよ」
ぼそりと名前を呟くと呼ばれた仙道はLBXマガジンをパタリと閉じ横にけだるそうに目線をやった。
するとかまってくれた嬉しさからか、郷田はふわりと仙道に笑いかけた。
「ったく無視してんのかと思ったぜ」
「別に話続けてくれれば良いのにねぇ…」
「独り言みてーじゃねえか」
「俺の事は空気だと思って構わないし」
―――またそれだ、この間仙道は俺は空気だとかそんな事を言ってたっけ。
俺の顔が一気に熱くなる。
仙道曰わく空気とは人間が吸わないと生きていけないもので、空気が無いと俺達は死ぬと言う事だ。
つまり、仙道は俺がいないと生きていけないと言うのだ。
そう言われたら嬉しいに決まっている。
「ば…か…」
「俺は郷田の事空気だと思ってるよ」
「うるさい」
「と言いつつ顔真っ赤だねぇ」
「っ?!」
するりと仙道の指が郷田の首に触れる。
首のラインを指で撫でれば郷田はびくりと震えた。
「…っでも、空気だったら喋れないし触れないだろ?」
「…」
「俺はそんなの嫌だからな!」
そう言って俺は仙道の唇に自分の唇を重ねた。
「郷…っ」
チュッと音をさせ離してやればぽかんとした仙道の顔。ざまあみろ。
「へぇ…郷田は俺と喋って触れたいと思ってるんだ?」
「え…」
「じゃあ遠慮しなくても良いんだ?」
仙道はトンッと郷田を押し倒す。
「仙…道?」
「触れたいんだろ?」
そう言う訳で言った訳じゃないんだけど…。
まあ良いか、と心で完結し仙道の首に腕を回した。
空気=無いと生きれない。
と言う解釈が好きで仕方ない。
2011/12/09
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