「はい………?」
ウィリアムソンははっとしたように新一を見て笑った。
何かを誤魔化すように。
「いえ、何も。とにかく話がそれだけでしたら失礼します」
「あ、はい。ご協力ありがとうございました」
ぺこりと頭を下げた新一を熱い視線が見つめていた。
あれから新一はまだウィリアムソンの家の前にいた。
さっきの反応が気にかかって。
辺りは暗くなってきた。
裏からこっそり中を覗く。
すると、電気がついていなかった。
「………あれ?なん……」
その途端、ガッと鈍い音がした。
新一が前のめりに倒れ込む。
必死に殴った相手を見ようとした新一の努力も虚しく、新一は気を失った。
見えたのはただのシルエット。
早く犯人を見つけないと――
*
あの頃は、俺もまだ子供だった。
両親を殺した奴を捕まえるんだって、いや、違う。
本当は復讐したいと思ってたんだ。
そんなこと誰も望んでないって本当は気づいてたのに。
知らない振りしてた。
「新一、それはまだ早い」
「いいでしょ。俺は早く大人になりたいの」
むくれて、駄目だという大人を振り切った。
パーンッと銃声が響く。
「…………ッ……」
「新一。大丈夫か?」
弾き飛ばされて尻餅ついた新一に駆け寄る警官。
手が痺れていて、上手く動かせなかった。
その時横から声がかかった。
「放っておきなさい」
そこに現れたのは、昇進したばかりの警部。
無表情で新一を見下ろしていた。
「警部!!」
「自分でやりたいと言ってやったんだ。責任は自分で取るべきだ」
「ですが…」
警部は新一に目を合わせて捜査官に言った。
「君はもう帰りなさい」
「しかし…」
「いいから」
警部の強い瞳に捜査官は引き下がった。
「わかりました」とその場を離れた。
出て行くのを見届けると警部は口を開いた。
「少し、お茶にしないかい?」
「え……?」
怒られると覚悟して俯いていた新一の肩に警部が手をかけた。
驚いて顔を上げる新一。
警部は優しげな表情で笑っていた。
「ほら、こっちへおいで」
「あ、あの…」
さっきまで怒ってたのに何で笑ってるんだろう?
不思議に思いながらも、新一は警部に着いて行った。
「はい」
「あ、ありがとうございます…」
警部にコップを渡されてぺこりと頭を下げる。
さっきまでの威圧的な態度が嘘のようだ。
新一は恐る恐るコップに口をつけた。
沈黙が流れる。
それを破ったのもまた警部だった。
「君は復讐したいのかね」
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