=side.KAITO=
快斗は放課後工藤邸まで志保たちと共にやって来た
チャイムを鳴らしても、やっぱり新一は出て来なかった
「黒羽くん」
「大丈夫。ここからは一人で行くよ…」
快斗はにっこり笑ってそう言った
昔みたいに安心できる温かな笑顔
それに安堵した
「みんなは志保ちゃん家で待ってて」
「ちゃんと帰ってきてね…」
「うん、ありがとう!!」
そうして快斗は工藤邸の鍵を取り出し中に入っていった
「新一…」
部屋の隅でうずくまってる新一の姿を見つけたのは、新一の自室だった…
やせ細っていて見ていて痛々しかった――
「新一!!」
「快斗…?」
新一は快斗を見てふわりと笑った
儚い笑顔で――
「なぁ、快斗。どこにも行かないで。そばにいて…」
新一の目から涙が零れ落ちて来た
それにギュッと力を込めて抱き締める
ずっとそばにいるよ、と…
「ごめんね、独り善がりだったんだ」
快斗が新一を抱き締めながらそう呟いた
「新一のことが好きで、離したくなくて遠ざけた」
「俺だってそうだ。ごめん、快斗」
「みんなに謝ろう。もう一度やり直そう。二人で一緒に…」
「快斗…」
仲直りのキスは涙の味がした――
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