=side.SHINICHI= 







五月蝿く電話が鳴っていた


昨日からずっとしつこい


出てみると両親からだった――



「もしもし?新一」


「父さん…」


新一は不覚にも父親の声を聞いて泣きそうになった




「泣いてるのか?」


ほら、直ぐに気付く



「泣いてねぇよ…。それよりなんだよ」


「新一、アメリカに来なさい」


「断る」


「お前のどこに断る理由がある」



その言葉に総て知ってるんだと気付いた




カッと頭に血が上る


「快斗は…快斗はそんなんじゃねぇ…!!勝手なこと言うな!!」



ガシャンッと電話を壁に投げつけた


ツー、ツーと壊れた音がする






電話線を抜いて何も聞こえないようにした



そうしてまたうずくまった


「快斗、…快斗――」



お前に取ってもう俺が必要なかったとしても、俺にとってはまだ必要なんだ――



必要なんだよ…、快斗…




お願いだからそばにいさせて――









     

- 16/18 -

しおりを挿む
back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -