灰原相談室






快斗は今日一大決心をした。
そう、魔の巣窟――工藤邸…………の隣の阿笠邸に赴くことを。






灰原相談室





「女史、聞いて下さい!!」

いきなり忽然と姿を現したと思ったら急にこの一言である。
そのKIDの切羽詰まった表情に哀は緊張していた体の強ばりを解いた。
こんな必死で情けない表情をしているハートフルな怪盗さんが私や博士に危害を加える訳がない。
さり気なく手にとっていた麻酔銃と妖しげな薬を哀はしまった。
とりあえず哀は、他人様には見せられない表情のKIDを地下室の椅子へ手招いて、珈琲を淹れてやった。

「とりあえず落ち着きなさい。これでも飲んで」
「ありがとうございます」

KIDはなんの疑いもせずに珈琲を受け取り、砂糖とミルクをたっぷり入れて飲んだ。
それをつぶさに観察しながら哀は何の話だろうと思いを巡らせた。
因みに哀は、KIDが地下室に忽然と姿を現した時に妖しげな実験をしていた…(笑)
その道具も、今は片付けられている。
なんの実験をしてたかは聞かぬが華だろう。
人心地ついて落ち着いたらしいKIDに質問してみた。

「それで、怪盗さん。あなたが聞いてほしいことはなんなの?」
「実は……名探偵のことなんです」
「工藤君の?」

KIDは自分の家系、自分に霊感があること、そして新一が霊媒体質だということを話した。
そして前回の仕事の時も、その前の時もしつこいくらいに新一が来るのだと訴えた(笑)
哀は、それをこめかみを手で抑え頭痛に耐えながら頭の中で整理していった。

「つまり、あなたには霊感があって、工藤君には霊が憑きやすい。そしてあなたは霊に狙われる程の霊力を持っているから、できれば工藤君に近づいてほしくないってことね」
「そうなんです。どうにかなりませんか?女史」

そんなこと言われてもはっきり言って困る(笑)
しかもそんな非現実的な話そんな簡単に信じられない。
というか、怪盗が個人情報をそんな簡単に漏らしていいのか?
哀はため息を吐いてKIDを見た。

「それは工藤君が決めることよ。私には何もできないわ」
「ですが、女史の言うことなら聞いて下さるかと…」

真剣に頼み込んでくるKIDに哀は呆れ果てた。
頷かなければ、延々とこの話が続くだろう。

「わかったわ。できるだけやってみるわ」
「ありがとうございます、女史」

飲み終わった珈琲カップと晴れやかな笑みを残してKIDは消えた。
哀は頭痛がする頭を抑えて実験の続きは明日することにして、眠りについた。
目的を達成できたKIDは満足げだったとか(笑)








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