どうしてこんなに胸が締め付けられるんだろう・・・。




「せんせ〜、ここ教えて〜」


クラスの女子が黒羽先生を囲んではしゃいでいた。






どうしてこんなに胸が締め付けられるんだろう・・・。





授業が終わった休み時間。黒羽先生を囲んで女子がはしゃいでいる。
新一はそれを自分の席から眺めていた。

いつも授業が終わると、黒羽先生は生徒に囲まれる。
それを見る度に胸が締め付けられる。分かってるんだ。黒羽先生は人気がある。かっこよくて優しい。若いしマジックでみんなを楽しませてくれる。だから、みんなが好きになるのも分かる。でも感情が割り切れないんだ。好きだから。黒羽先生を独り占めしたくて…、胸が苦しい。締め付けられる。どうしてこんなに好きなんだろう。
新一は席を立って、廊下に出た。



これ以上見ていたくなかった。
決めたのに。絶対振り向かせてみせるって…。
その時不意に、くらりとした。最近事件で忙しかったから疲れが溜まっていたのだろう。ふらりと倒れかかったところで力強い腕に抱きとめられた。


「工藤。大丈夫か?」
「くろ、ば先生?」


新一は快斗に抱きとめられていた。
黒羽先生の腕の中は温かくて、黒羽先生の匂いがして気持ち良かった。それと同時に胸が締め付けられる。好きじゃないなら、同じ想いを返してくれないなら、優しくしないで。期待させないで。でも、もう少しだけこうしていたい…。



「工藤?」
「すみ、ません。もう、大丈夫です」



無理に笑顔を作って新一は言った。



「教室に戻ります」
「気をつけろよ。工藤」
「はい…」



好きじゃないなら優しくしないで。胸が苦しくなるから…。







お題配布元→水葬





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