どんなことがあっても、そばにいるから。




もうそれ以上我慢出来なかった。
黒羽先生は俺のなのに――。
醜い独占欲が胸を支配した。
お願いだから…俺から黒羽先生を取らないで――。






どんなことがあっても、そばにいるから。





驚いて振り返った先には新一がいた。快斗の目が見張られる。それに新一はツカツカと部屋を横切って快斗の前に割り込んだ。
きっと潤んだ蒼い瞳で奏を睨む。許せなかった。だって快斗は俺の――。
やっとの思いで手に入れた奴なのに。



「黒羽先生は俺のものです――」
「しん…」


快斗の言葉は新一の唇の中に吸い込まれた。恋人同士の深い口付けに目眩がした。
更に深く重ね合わせる。まるで消毒するかのように――。
真っ赤になって必死に口付けてくる新一に快斗は一瞬理性を手放しそうになった。漸く離れて腕の中でくたりとへたり込む新一を抱き止めながら快斗は奏に笑いかけた。


「悪い。そういうことだから…。ありがとな…」


そう言って笑いかけてくる快斗に奏は苦笑した。きっとあの言葉の意味もわかってないと思う。けれど、この人を好きになれて良かったと思うんだ。
二人寄り添って出て行った二人を見送ってベッドに沈み込む。






「はは…」


笑いが込み上げて来た。
好きだった。誰よりもずっと近くで見てた。
けれど、いつの間にか快斗には大切な人が出来てた。それが悔しくて、哀しくて今回の意地悪。
ごめんね、新一君。
“ごめん”じゃなくて“ありがとな”なのが快斗らしくて嬉しかった。
ありがとう…。


「………っ……」


奏の頬を雫が流れ落ちた。






お題配布元→水葬





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