全部言ってしまえれば、楽になるのに・・・あたしはそれを選べない。 嬉しそうな黒羽先生を見てると、何も言えなくなってしまう。 ねぇ、黒羽先生は白田さんのことどう思ってるの? 知りたいのは、不安なのは、ただそれだけ。 全部言ってしまえれば、楽になるのに・・・あたしはそれを選べない。 知ってるよ…。あの瞳の意味もすべて。多分白田さんは黒羽先生が――なんだ。 だって、自分と同じだったから。黒羽先生を見つめる瞳が。 でも、やっと目覚めた親友に喜んでる黒羽先生を見たら、そんなこと言える訳がなかった。黒羽先生は白田さんを親友としか思ってない。だって、ほら。 「奏がさ、少し筋肉がついてきたんだ。少しずつだけど回復してるって」 「良かったですね、黒羽先生」 「ありがとう、新一」 優しく笑うんだ。親友に――白田さんにずっと後ろめたく思ってた黒羽先生。やっと呪縛から、罪悪感から解放されたのに、まだ自分を責め続ける。そんな快斗にどうして言えるだろう。 自分の不安のために快斗の負担になりたくなんてなかった。 「黒羽先生…」 「何?新一」 「――――いえ、何でもありません…」 ねぇ、黒羽先生は白田さんのことどう思ってるの?黒羽先生の好きはどんな好き? 俺は特別でいられる? 俺はあなただけが好きだから。だからどうかあなたも俺だけを好きでいて――。 お題配布元→水葬 戻る |