この時間が、ずっと続けばいいね。




まるで神聖な儀式が何かのようにキスが傷口を掠めていく。
それがくすぐったくてむず痒くて新一は肩を竦ませる。
あの時みたいに変な感覚を呼び起こしそうで、それが怖かった。






この時間が、ずっと続けばいいね。





「よし……」


肩を竦め続ける新一の反応をひとしきり楽しんだ後、快斗は唇を傷口から離した。そして新一に問いかける。


「新一薬持ってるか?」
「ぁっ……持って、な…」
「じゃあここに置いてある薬でいいか?」


快斗は傷口に薬を塗って新しいガーゼを貼る。そして包帯を元通り綺麗に巻いていく。マジシャンでもある快斗の手は繊細で、細くて長くてドキドキする。
ギュッと目を閉じていると、あらぬことを思い出してしまって余計に新一を混乱させた。それにくすりと笑ってポンッと軽く包帯に巻かれた手を叩いて、涙が溜まった目尻にキスを贈る。



「終わったよ」
「ぁっ////」
「可愛い。新一」


ギュッとまた抱き締めて快斗は思い出したように新一に問うた。


「新一再来週の日曜日空いてる?」
「はい……」
「じゃあ、ちょっと付き合ってくれないか?」
「何に?」


快斗は少し表情を改めて真剣に言った。それは波乱の予兆。



「病院。新一に合わせたい奴がいるんだ」


そんな言葉聞きたくなかった。この時間が、ずっと続けばいいのに――。






お題配布元→水葬





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