伝わる体温が、こんなに心地いいものだったなんて。




「好きだ。新一」
「俺も好き。…黒羽先生」


二人は笑い合った。最高の笑顔で。






伝わる体温が、こんなに心地いいものだったなんて。





想いを伝え合って、はれて両想いになれた二人は抱き締め合っていた。触れ合ったところから感じる相手の体温が心地いい。人と触れ合うのがこんなに気持ちいいことだったなんて…。
やっと分かり合えた。それが、すごく嬉しい。ずっとこうして抱き締めあっていたい…。もう、一方的な想いにはたえられないから。このまま黒羽先生の体温を感じていられたら。
ずっと忘れてた。人と触れ合うことを…、人の温もりを…。思い出させてくれた新一には、感謝してもしたりない。俺を受け入れてくれてありがとう。


「ありがとう、新一」
「なんだよ急に」
「ううん、ただ、言いたかっただけ…。大好き、新一」
「あっ…俺も、好きだ////」


とくとくと心臓の音が響く。今更緊張して来てどうすればいいのか分からない。真っ赤になっていると、そっと頬に手が添えられ、顔を上げさせられた。紫紺の瞳と蒼い瞳が真正面から向かい合う。ゆっくりと顔が近づいて来て、とっさに瞳を閉じた。唇が重なる…。


「新一。今日はもう遅いし泊まっていけよ。先にシャワー浴びてきて」
「は、はい////」


茹で蛸のように真っ赤になりながら、新一は慌てて洗面所に向かった。
その後ろ姿を快斗が苦笑しながら見ていた。



『うわ〜うわ〜////キスしちゃった。どうしよう!!』
新一は混乱していた。
どんな顔をすればいいんだろう。分からない。シャワーを浴びながら考えるが、何も思いつかない。どうしようと考えていると、黒羽先生から声がかかった。


「着替え此処に置いておくから」
「わ、分かりました!!」


上擦った声が出た。それに微笑して快斗は出て行った。
シャワーを出て用意されていたパジャマに着がえる。ぶかぶかで袖をたくし上げた。

「あの、出ました」
「じゃあ先にベットに入ってて」
「お、俺ソファで寝ます」


真っ赤になって新一は言った。だって此処にはベットは一つしかなくて、それってつまり…一緒に寝るってことで////
そんなの恥ずかしい。


「新一をソファでなんて寝かせられないよ。もし一緒に寝るのが嫌なら俺がソファで寝るから」
「な、別に嫌な訳じゃ…。それに先生をソファでなんて寝かせられませんよ」
「じゃあ、一緒にベットでいいね。先に行ってて。シャワー浴びてくるから」
「……はい」


上手く丸め込まれた感がいなめないが仕方ない。それに一緒に寝るのが嫌な訳じゃないんだ。ただ、恥ずかしいだけで。本当はちょっと嬉しい。黒羽先生を近くで感じられるから…。


ベットで寝ていると、黒羽先生が部屋に入って来た。するりと隣に入って来て優しく抱き締められる。


「新一、起きてる?」
「はい」


隣に黒羽先生の体温を感じる。抱き締められる温もりが心地いい。黒羽先生を見上げると、紫紺の瞳が見つめていた。繊細で綺麗な手が、髪を梳いてくれる。


「新一、好きだよ」
「俺も。黒羽先生」
「快斗」
「えっ…?」
「快斗って呼んで、新一」
「か、いと…快斗、好き」


快斗が嬉しそうに笑った。そして、顔中にキスを落としてくる。額に、瞼に、眦に、鼻の上に両頬。くすぐったくて無邪気に新一が笑う。
そして、最後に唇にキスを落とす。
二人見つめ合って、額をくっつけて笑った。



大好きな人と過ごす夜。二人温もりを分け合って、気持ちを通い合わせる。


愛してる…。






お題配布元→水葬





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