![]() 忘れて欲しいと思いながら、忘れないで欲しいと願った。 忘れないでください、いつまでも 「新一、別れよう」 そう言って、快斗は笑った。 一瞬何を言われたのか分からなかった。 「な…何言ってんだよ」 動揺しているのか、喉が張り付いて上手く喋れない。何を言ってるんだ快斗は。 「だから、別れようって言ってるの」 「何でだよ。俺のこと嫌いになった?俺何かした?」 嘘だと、叫びたかった。 そんなことないと言って欲しかった。 「違うよ、新一。新一が悪い訳じゃない。」 「じゃあ、何でだよ。何でそんなこと言うんだよ、快斗!」 快斗は微笑んで言った。 「ごめんね。でもこれは俺のわがままなんだ」 「何で……イヤだ快斗!」 とうとう新一は泣きながら叫んだ。イヤだと泣く新一に快斗はごめんと思った。 君を置いていく俺のことなんて忘れてしまっていいよ。でもその気持ちとは裏腹に忘れて欲しくないって思ってる俺は自分勝手だね。ごめん。 「新一、バイバイ」 「か…いと……」 パタンとドアを閉めて家を出た。 ごめんね、新一。パンドラが見つかったんだ。だから、俺は組織を潰しに行く。 置いていく俺のことなんて忘れて良いよ。新一は幸せになって。 でも叶うなら、たった数秒でも君が俺のことを忘れないでいてくれますように……。 END お題配布元→Rat Of Snow |