この手に残ったのは、ほんのひとかけらの真実。
「ねぇ、コナンくん」
「なぁに?蘭姉ちゃん」
真っ白な病室。そこは、彼女の閉じられた世界。
黒の組織との対決で失ったのは、誰よりも大切な彼女と俺との記憶。そして、元の姿に戻ることの出来ない体だった。
「コナンくん見てるとね、何だか懐かしいの…」
「懐かしい?」
「ずっとそばに居たような、そんな気がする」
穏やかに笑う彼女は、本当に何も知らない。その真っ白さがどれだけ痛いのか気付きもせず。
これは、罰なのだろうか?
彼女を欺き、騙して来たことに対する。せめて彼女の世界が、明るく光り輝いているように。
ただ、それだけを祈ってる−−。
消さないで…
(あなたはだれ?)
(それは世界が壊れた日)
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