そばに在れること−−それは、何にも代え難い幸せ。





「お待たせ、蘭」

「遅いよ、新一!もう、直ぐに事件に走るんだから」





 ぷりぷり怒るわたしに、彼はごめんごめんと謝ってわたしの隣へと並んだ。隣で歩く速度は変わらない。変わったのは、わたしたちの心の距離。付かず離れずあともう一歩が踏み出せないそんな状態。





「なぁ、蘭…」

「どうかしたの?」





 急に引き止められ、引かれるままに子供の頃よく来た公園の中に入る。繋がれた手が嬉しくて、離したくなくて愛しかった。





「懐かしいね…」

「ああ、ずっと一緒だったよな、俺ら」





 笑ったり、泣いたり、怒ったり、喧嘩したり。いつも輝いていた日々。自分たちより遥かに大きかった遊具も、今ではこんなにも小さい。





「あの時、言えなかったけど。戻って来れたらオメーに伝えたかったことがあるんだ」

「うん……」

「俺、さ…俺…」





 一度言葉を止めて、彼は公園の中へと向けていた瞳をわたしに向けた。熱い視線に胸がドキドキした。





「蘭が、好きだ−−」

「………………っ」





 わたしの瞳から後から後から零れ落ちて来る涙。ずっと大好きだった、大切な人が、そばに来てくれた証。
 泣き出したわたしに、慌てた彼の腕の中に、わたしは飛び込んだ。





「新一、わたしもっ…好きだよ」

「サンキュ…」





 嬉しそうに微笑む彼にギュッとギュッと抱き付く。これからは、ずっと一緒だね。





「「ありがとう…」」





 先に口を開いたのはどちらだっただろう?
 重なった影を夕闇に沈む空だけがみてた−−。




粉々に砕いた理性。
(伝えることが出来なかった想い)
(それは、たったひとつの“愛言葉”)






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