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『無意識のゼロセンチ』



「「……ぁっ…!?」」

一瞬の出来事だった。
快斗が鳩の世話をしていると、急に鳩が飛び立ってしまった。
それに驚いて追いかけようとした快斗と、それを見ていて鳩を捕まえようとしたキッドが正面衝突してぶつかって転んだ。
快斗は、その瞬間にぶつかった温かい感触に茫然として、次いで真っ赤になった。
キッドもキッドで状況を把握して慌てている。
内心快斗の唇は柔らかかったなとか考えてしまったのはご愛嬌だ。
男なら誰でも思うだろう。
うんうんと内心で頷きながら、キッドは鉄壁のポーカーフェイスで快斗を宥めた。

「ぁっ…やっ、その……」
「快斗、落ち着いて下さい。ただの事故です」

自分の言葉に自分で傷つきながらキッドはなんとか快斗を宥めた。
少し落ち着いてきた快斗は、キッドを涙目で見上げた。

「ごめんな。キッド」
「いえ…」

手でとっさに鼻を抑えたのは流石だろう。
キッドを誉めてあげたいくらいだ。
内心何でこんなに可愛いんだと叫びながら、キッドは何とか欲望を抑え込んだ。



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