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『眠るきみに秘密の愛を』



深夜、からからと窓が開く音がする。
部屋の中に冷涼な空気を纏って入ってきたキッドはベッドに横たわる眠り人を見た。
白き衣は戦闘装束。
靡くマントからは微かな硝煙の臭い。
キッドはすべての重荷をその瞬間に手放す。
ずっとずっと見守ってきた愛しい子。
キッドは傍らに座って癖の強い髪を優しく撫でる。
どうか、この子に不幸が降りかからないように。
すべての厄災を自分が受け持つから、どうか幸せに――。
信じてもいない神に祈りを捧げる。

「愛してますよ、快斗…」

額に口付けをそっと降らせる。
何度も、何度も…。
ひとつは、幸せを。
ふたつは、平安を。
みっつは、密かな愛を…。

快斗がその瞬間微笑んで見えたのは、幸福な幻覚か。
それとも…。
密かな愛の告白はその後も続いた。



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