†契り†




ずっと胸の奥にくすぶってた想い
すべてが終わったからもういいよな?
俺は諦めるつもりもない
だけど、決めるのはお前だ…



†契り†



快斗もようやく全快して、墓参りにも行って、新一は決めていたことがある。
今日こそは、快斗とすると。
車の中で哀に言われた言葉を思い出す。

「工藤君」
「なんだ?灰原」
「無理させないでね…」

含んだ笑みに冷や汗が垂れた。
更に焦ったのは。

「ふたりとも何話してるの?」
「か、快斗!?」
「なんでもないわ、黒羽君」

哀が微笑みを浮かべて快斗に話しかけるのを、新一はただ聞いてることしかできなかった。
あの時、確実に哀に黒い羽根と尻尾が見えた。
思い出してぞくりとした新一は頭を振って思考を切り替える。
とりあえず今はしなければならないことを新一は実行に移した。

「なぁ、快斗…」
「何?新一」

湯上がりの快斗を捕まえて話しかける。
引き締まった身体にどくりと心臓が跳ねるのを抑えて。

「後で俺の部屋に来てくれよ」
「新一の部屋?わかった」

なんの疑いもなしに頷く快斗に少しの罪悪感を覚えながらも、新一ももう限界だったのだ。
今は、不安要素があるだけに余計に…。




「新一、入るよ?」
「ああ…」

ノックをして入ってきた快斗に新一は緊張しながら対峙した。
この部屋でふたりきりで対峙するのはいつぶりだろう?
いつも哀やほかの人がいた。
拒絶されたらとそれだけが怖い。

「新一?」
「快斗、来いよ」

来い来いと手招きすると、快斗がぽてぽて歩み寄って来た。
グイッと引き寄せると唇を重ねる。
快斗が新一の上に倒れ込んで来て、快斗が新一を潰さないように慌てて離れるのを抑えて口付けを深くする。
ぴちゃぴちゃと濡れた音がして唇が離れた。

「……ふっ」
「…新一?」

甘く掠れた声が欲情を更に高める。
新一は意を決して口を開いた。

「抱けよ…」
「…っ!?……新一…」
「もう全部終わったし、いいだろ?」
「しん、いち」

キシリとベッドのスプリングが鳴る。
目をぎゅっと閉じていた新一は、瞼に温かい感触が降ってきたのに驚いて目を見開いた。
ぼやけた視界に快斗の顔が映る。

「好きだよ、新一。だから泣かないで」
「かい、と…」
「新一の望みなら、叶えるから。嫌だったら言ってね…」

ゆっくりと快斗の顔が降ってきた。







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