†愛しさと切なさと†




今までたくさん心配かけたね
すべて終わるまで来ないって誓ってた
やっとくることができる場所
産んでくれて、愛してくれて
ありがとう、父さん…



†愛しさと切なさと†



今日は快斗がずっと行きたがっていた盗一の墓参りに来ていた。
小高い丘の天辺にかの偉大なるマジシャンは眠っている。
墓石の前に快斗が白薔薇を手向ける。
それを新一と哀、優作と寺井とユダが見守っていた。
手を合わせていた快斗は墓に向かって話しかける。

「父さん、全部終わったよ。もう心配ないんだ…」

思い起こせばたくさんの記憶がある。
子供の頃、ここに来てばかりいて心配かけてごめんね。
きっと、父さんのことだから滅茶苦茶心配してたよな。
考えなしで、いつも心配ばかりかけてた。

「父さん、俺ね、大切な人見つけたよ。父さんより大切な人。――大切な人と優しい人たちに囲まれて、俺幸せだよ」

だから、心配しないでね。
俺はみんなに囲まれてとても幸せだから。
ありがとう、父さん――


さぁっと風が通り過ぎて行った。
振り返ってみんなの元へ。
快斗の顔にはとても綺麗な笑顔が咲いていた。
その後寺井が墓前で報告会を始めて、焦った新一と快斗が止めに入った。
内容的には快斗にとうとう恋人ができて寺井は感激です。
とか以下略。
賑やかになった周りに優作がこっそりと墓の前に立つ。

「盗一。君の息子は本当に素晴らしい子だよ。まだまだ問題は多い。でも、あの子たちなら大丈夫だろう」

きっと乗り越えていってくれる。
そう信じて、彼らにすべてを託す。

「私たちにできなかったことをあの子たちはやり遂げたんだ…」
「優作さ〜ん」
「帰るぞ」
「早く来て下さいね」

あの光の中を共に歩いて行けたなら。
だが、見守る道もある。
そうだろ?盗一…
答えるように風が通り過ぎた。







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