†隠された想い†





嘘ついててごめん…
騙しててごめん…
偽りだらけの俺だけど、
たったひとつこれだけは真実なんだ…



†隠された想い†



学校帰りにいつも通り待ち合わせして、本屋に寄って帰る道すがら。
近所の公園で遊ぶ子供、道端に咲いている小さな小さな花。
様々なものが目に入って新しい発見がある。
そうしながら何よりも楽しいのは一緒に話しながら帰る新一の顔を見ること。
話しながらころころ変わる新一の表情を見るのが凄く楽しい。
笑ったり、怒ったり、頬を膨らませて拗ねたり、とにかくよく変わる表情。

「でさ、灰原がすげー怒ってさぁ。何もあんなに怒んなくてもなぁ」
「はは。麻酔銃打たれて眠らされたら誰だって怒るんじゃない?」
「仕方ないだろう。それしか方法がな…」
「諦めて怒られとけよ、工藤」
「てめぇ。人事だと思って」

ぶちぶち文句を言いながらも、新一は笑っている。
それを眩しそうに快斗は見つめる。
まあ、哀に怒られるのはご愛嬌だろう。

「薬盛られないように祈ってるよ」
「おまっ…!?ヤなこと言うなよ!!」
「ちゃんと冥福は祈ってやるから」

余計に安心できるか!!と新一が叫ぶのを快斗は爆笑しながら聞いていた。
ふと、新一が真顔になって話を変えた。

「それに、KIDだよ。KID、あいつ絶対捕まえてやる」
「えっ?工藤、KID捕まえんの」
「あぁ、あいつには借りがあるからな」
「借り?KIDに?」
「あぁ。あいつには色々世話になってるからな。だから借りを返すまで捕まえらんねー」

新一が悔しそうに言うのに快斗は曖昧に頷いた。
新一は、目の前で笑っている奴がその本人だって分かったらどうするのかな?
やっぱり怒るかな?
それとも、哀しむ?
でもやっぱり、軽蔑されるのが一番辛いかな。
ごめんね…。
俺はそれでも、本当のことは言えないんだ。

「……なぁ、捕まえたら――俺にも見せてくれる?」
「ああっ!!絶対見せてやるよ」

嬉しそうに笑う新一に、快斗は切なくなった。
そんなことできないって知ってる癖に。
自嘲的な笑みを一瞬だけ浮かべた。
ごめんね……、工藤。

「そういや黒羽。お前も東都大か?」
「お前もってもしかして新一も?」
「あぁ、大学では一緒だな。黒羽」
「――うん、そうだね。工藤」

言うことができなかった。
たった一言、行けないかもしれないなんて…。
俺たちはいつまで一緒にいれるかな…。心の奥に根付いた温かい気持ち。
凍てついた心を優しく包み込んでくれた。
やっと気づいた――いや気づくのが怖かったこの想い。
俺は、工藤のことが好きなんだ…。







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