†溢れる程の愛しさ†




一緒にいることができる
何よりも大切で難しいこと
これからはずっと一緒にいよう
それが、みんなの願い…



†溢れる程の愛しさ†



それから暫くまた寝たきりの生活を過ごすことになった快斗は、大人しく本を読んだり、新一や哀、ユダと話しをたりして過ごした。
はっきり言ってユダの存在は新一と哀にとって目障りだった。
でも、快斗も許していて、優作の許可まで降りてしまえばもう拒否権はない。
だから口で文句を言うのだけで我慢している。
忍耐という言葉をひたすら覚えた一週間だった。
因みに壊れた哀のストラップは快斗が直した。
嬉しそうにはにかんだ哀の表情を新一と快斗は見ていた。
外には雪がちらついている。
今日は、朝から馬鹿な来訪者が来た。
新一と快斗を探していたから丁重にお持て成しをしてあげた。(半分以上八つ当たり)
今頃外のゴミ集積場でゴミとして運ばれている頃だろう。
そんな時ひょっこり現れた銀髪の青年。

「また来たのか」
「本当に厭きないわね。新薬の実験体にするわよ」
「いらっしゃい。ユダ」

ほのぼのとした快斗の発言とは裏腹に、新一と哀の言葉は冷たい。
だが、ユダはそれを平然と無視して快斗に歩み寄った。
あの後ユダは近くのマンションに引っ越してくることになった。
そして引っ越して来てからというもの毎日工藤邸に快斗に会いにやって来る。
それが新一と哀には更に面白くない。

「邪魔してる。アルフと呼べと言ってるだろ?快斗」
「?ごめん、アルフ」
「それより快斗、寒くないか?」
「窓閉めましょうか」

からからと窓が閉まる。
流れるのは、優しい沈黙だけ。
快斗が満面の笑みで唐突に言った。
今伝えたいと思ったから。
この溢れる程の愛しさを…。

「大好きだよ、ふたりとも」

快斗の綺麗な笑みに見とれた新一と哀は、顔を見合わせてくすりと笑った。

「「俺(私)たちも大好きだよ(だわ)」」

すべてが終わった後の穏やかな時間。
大好きな人たちと共にあれる喜び。
こんにちは、これからもよろしくね。







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