†深層心理†




信じられるのは彼だけ
優しくて、強くて、儚い
心をもっている人
だから何も話さない
話したいと思うのは彼だけだから…



†深層心理†



「話してもらえないかな?君はどこまで知ってるんだね」
「お前たちに答える義務はない」

穏やかに問いかけた優作に、にべもなく答えてユダは快斗を見つめ続ける。
というより快斗しか見ていなかった。
答えるつもりはない。
だって、俺が話したいのはあいつとだけだ。
あいつの大切な奴らだから五月蠅くても我慢してるんだ。
嫌われたくないから。
そばにいたいから。
その瞳に一瞬だけでもいいから映して欲しくて…。
そのユダの態度にぶちっときたのは新一だった。

「てめぇ、いい加減に…」
「新一落ち着きなさい。では名前は何て言うんだね」
「知る必要のないことだ」

新一の怒りの声を遮りユダに質問を重ねる優作。
ようやくユダが優作に一瞥をくれたが、肝心の答えは依然としてなく、答えてやってるだけありがたく思えという態度だ。
その瞬間、哀が耐え難いというように叫んだ。

「帰って!!」
「哀君!?」
「出てってよ。また黒羽君を傷つけるんでしょう?そうなんでしょ!!出てって!!」

哀が感情的になって叫んだ。
それに誰も何も言えなくて、涙を浮かべた哀が荒く息を吐いた瞬間、声が聞こえた。
優しくて温かい声が…。

「もうユダは俺を傷つけたりしないよ」

全員が一斉に振り返った。
そこにはベッドに大人しく収まった快斗の紫暗の瞳があった。







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