†命の雫†




流れた涙が綺麗で儚くて
ずっと見ていたいと思った
でも、彼が起こしてくれた最大の奇跡
無駄にするわけにはいかない
絶対、助けるから…



†命の雫†



キスした瞬間、快斗の閉じられた瞳から涙が一筋零れて傷口に落ちた。
ぽちゃんと傷口に触れると、溶けて消えていった。
傷がみるみる塞がって、体に温もりが戻ってくる。
その綺麗すぎる光景に、皆が見入った。
暫し茫然とした一同は、我に返った哀の言葉に動きを再開した。

「何してるの!?早く車に運んで。このままじゃ失血死するわよ」
「あ、ああ」
「では工藤様。私が運びましょう」

慌ただしく動き出した面々に、微動だにしなかったユダと勇作。
勇作はユダに歩み寄った。

「君にも来て貰おう。聞きたいこともある」
「別に構わんさ。“快斗”について行けるならな…」
「何故快斗君のことを?」
「調べただけだ。他に何がある?」

ユダが泰然と言うのを聞いた新一と哀は危機感を覚えた。
今彼は快斗のことを“快斗”と呼んだ。
今まで何があってもKIDと呼んでいたのに。
優作は、遠くに倒れている男を見て聞いた。

「彼は?」
「快斗を撃った奴だ。俺が殺した」
「何故?自分の獲物を狙われたからかい?」
「いや。俺はもう快斗を殺す気はない。強いて言うなら快斗を撃ったからだ」

殺す気はないと言った。
あれだけ狙って来たのに。
新一は快斗の血で汚れた服を纏ったまま、ユダを睨み付けた。

「何が殺す気はないだ!!今まで散々快斗を傷つけてきたくせに」
「そうよ。信用できるわけ…」
「今はとりあえず快斗君が先だ。早急に輸血の準備を」

優作のその言葉に、全員が動き出した。
ユダも車の中に連れて…。







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