†さよなら、愛してる†




本当は別れたくなんてない
ずっと一緒にいたかった
だけど、お前を困らせるのはいやだから
別れるのは辛いけど
ごめんな、心配ばかりかけて
さようなら、大好きだよ…



†さよなら、愛してる†



快斗の傷口を見て、哀は絶句した。
これは、もうダメだろう。
撃たれたのは左胸部斜め上くらい。
幸い、弾は貫通していた。

「黒羽君…」
「灰原」
「哀君。もう、いい」

それでも、たとえ助かる見込みがなくても傷口を止血する哀を、優作が止めた。
ゆっくりと優作が首を振るのに、絶望的な気持ちになる。
哀は叫んだ。

「イヤよ!!だって、戻って来るって言ったわ。約束だって…。それなのに…!?」
「哀君…」

ぽろぽろと涙を零し出した哀。
血塗れの手でそれでも手当てを続ける。
涙で霞んで視界がぶれた。
優作も新一も、何も言えない。
そこに新たな人物がやって来た。

「坊ちゃま!!」
「寺井さん」
「何という…。盗一様に顔向けすることもできません」

寺井は快斗の姿を見て嘆いた。
新一は快斗をそっと抱き寄せた。
なあ、俺は此処にいるよ。
俺はずっとお前を待ってるよ。
たとえ、もうこの世で会えないんだとしてもお前のことが好きだから。
ずっとお前のことしか見ない。
だから、安心して眠れ。
もう我が儘言って困らせたりしないからさ。
だから、お休み快斗…。
さよなら…。

「快斗、好き……」

最後くらい笑顔で。
頬を一筋の涙が伝っていった。
最後のキスは冷たかった。







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