†しっかりしなさい!!†




本当は、私だって怖い
でも、今死にそうなのは彼
彼が頑張ってるのに
私たちが諦めてどうするの…



†しっかりしなさい!!†



時は少し遡る。
哀は優作と共に車の中で待機していた。
もう警察、FBIには連絡を済ませてある。
後は工藤君と黒羽君を待って家に帰るだけだ。
やっとすべてが終わる。

「黒羽君。工藤君…」

彼をお願いね。
ギュッと胸に抱き締めた携帯からストラップがかちゃりと音を立てて落ちた。
チェーンが取れて壊れたストラップ。
それに快斗の姿が重なった。

「――――黒羽君っ!!」

急いで車から出て、優作が止める声にも構わずに走り出した。
快斗の脱出予定地点へ。
そうして駆けつけた時には、快斗は虫の息だった。

「黒羽君!!――――工藤君!!しっかりしなさい!!」

駆け寄った哀は快斗を抱き締めるようにただ俯いて名前を呼び続ける新一の頬をひっぱたいた。
新一が茫然と顔を上げる。
それを睨み付けて哀は言った。

「まだ黒羽君は生きてるのよ!!なのに、あなたがそんなんでどうするの」
「…灰原。ああ、そうだよな」

新一の瞳に力が戻った。
快斗が愛してた蒼い瞳の輝き。
あなたには力強い瞳が似合う。
だからあなたはそのままでいて。
哀はそれにほっとしたように息を吐いた。
もう辺りは闇に包まれていた。







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