†罪の形†




一瞬の気の緩みが
すべてを壊すんだって
わかってたつもりだった
油断してたのは俺
ごめんね、帰るって約束したのに…



†罪の形†



快斗は困惑していた。
ユダに抱き締められたまま動けない。
何故抱き締められているのかもわからず、首を捻りながら取り敢えず言われたことを反駁する。

「つまり俺のことはもう狙わないって意味だよな?」
「ああ」
「じゃあ、赦す」

快斗は腕の中からもぞもぞと抜け出して笑顔でそう言った。
もう狙わないと、そう言ってくれるならそれに超したことはない。
ユダはぽかんとした表情をしていた。
それが可笑しくてうれしくて快斗は満面の笑みを浮かべた。

「だ か ら、赦すって言ってるの。それにね、別に怒ってた訳でもないんだ。俺はあんたが俺に似てると思ってたから」
「似てる?」

ユダが不思議そうに聞き返す。
それに快斗は笑顔で答えた。
もう、KIDとして取り繕う必要はない。
だから、ありのままの言葉で自分が思ったことを。

「うん。誰も信じることができなかった頃の俺と少し似てるんだ。だから、そのままひとりでいて欲しくなかった」
「快斗…」

儚く微笑んだ快斗の頬に手を伸ばして、顎を上げさせた。
されるがままでユダに身を任せている快斗に、ユダの顔が近づいてきたその時。

「快斗!!」
「新一!?」

快斗は声が聞こえて来た方を振り返った。
ユダの手がさり気なく快斗の腰にあったのは公然の秘密だ。
新一が凄い形相で迫って来たのは言うまでもなく、快斗もそちらへ身体を向け走り出す。
だが、そこで時点は一変した。
パーーーンッと銃声が響く。
快斗の体がスローモーションのようにゆっくりと傾いだ。
倒れた快斗と新一の叫びと男の狂ったような笑い声がその場に響いた。







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