†想い、溢れ†




だってそうだろ?
父さんは俺のせいで殺されたんだ
何度思ったかしれない
俺がいなければよかったのにって…



†想い、溢れ†



「でも父さんは俺のせいで殺されたんだ。俺を護るために。だから、父さんが――みんなが哀しむことはしちゃダメだって…」
「KIDっ!!!?」

びくりと快斗の肩が跳ねた。
揺れた紫暗の瞳が痛々しい。
ユダはさっき言った言葉を後悔した。
今更遅いけれど、彼にだけは言ってはいけない言葉だったのに。
これは、ただの八つ当たりだ。
ユダはそっと快斗を抱き寄せた。
びくりと快斗の身体が震える。

「すまなかった。傷つけたかった訳じゃないんだ」
「ユダ……な、で…」

いつの間にか惹かれていた。
その心の強さと脆さに。
儚い微笑とポーカーフェイスの表情に。
敵、味方関係のない優しさに。
そして紫暗と赤い瞳に。
脳裏に過ぎった女性に今度は微笑みかける。

『ジュリア…。君以外に大切な人ができたよ。君以上に危なっかしくてそして強い。そんな人が…』

今にも壊れてしまいそうな微笑みを唇にのせて、笑う君を。
好きになってしまってごめん。
傷つけてばかりの俺だけど、君に伝えたい。
もう、何も気にする必要はないんだと。
哀しまなくていいんだと。
それしかできないから。

「俺は、もうお前を殺そうとしない」
「ユ、ダ…」
「今更遅いかもしれないし許して欲しいとも言わない。けど、お前のことを守りたいと思う。“快斗”」

力一杯抱き締めるユダに、されるがままの快斗。
ただ君が好き。
重い十字架を背負わされた言葉。
それだけが言えない。
それが、俺の罪――。







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