†必要なもの†




お前はきっと
彼にとって命より大切で
だから確認しておきたい
お前の覚悟がどれ程のものか…



†必要なもの†



「新一、ちょっといいかい?」
「何だよ…」

新一は不機嫌そうに優作を見た。
いつもいいところばかり持って行く父親に、新一は対抗意識を持っていたのだ。
間違いなく快斗にとって役に立っているのは優作でそれが新一には面白くない。
新一は気づいていなかった。
役に立つことと必要とされることは=ではないということに。

「新一。快斗君の役に立てなくて悔しいかい?」
「ああ、悔しいね。とても」
「でもね、新一は誤解してる」

優作はこれだけは解らせなければならないと新一としっかり向き合った。
いつになく真剣な優作に新一も表情を改める。
でも優作が何を言いたいのか、新一には解らなかった。

「…………誤解?」
「新一は役に立つことが相手に必要とされることだと思ってるだろう?」
「……ああ」

仕方なく新一は頷く。
確かに自分はそう思ってる。
だからちゃんと素直に自分の気持ちを口にした。

「新一。いいことを教えてあげよう。私は前回の作戦の時確かに快斗君に情報面の提供で役に立った。でもね、新一。快斗君は私のことを必要だとは思わなかった」
「そんなこと…」
「新一、聞きなさい。いいかい?快斗君にとって私たちは守る対象だ。それに快斗君がその気になればあれくらいの情報集められる」

優作は新一に伝わるようにしっかり目を見て話した。
新一は何か言いたそうだったが優作の言葉が真実だったから黙って聞いた。

「でもね、新一。快斗君はあの時もそして今もお前のことを必要としている。そばにいて欲しいと願ってる。新一は快斗君のそばにいてあげられるかな?」
「絶対。何があっても離れない。そばにいる」

新一の決意に満ちた蒼い瞳に優作は笑みを浮かべた。
お前にしか任せられないことだから。

「快斗君のことを頼むよ」
「言われなくても」

親子はにっと笑って手を叩いた。
それは約束の証。







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