†すれ違い†




変わらない態度
あの時もそうだった
いつも何でもない顔して
心の奥では、何を思っているの…



†すれ違い†



「おはよう、新一」
「…………はよう」

朝起きたら、快斗はいつも通りで、たまらず新一は朝食を食べてから隣家へ逃げ出した。




「それで?一体どうしたの」

哀が珈琲を淹れて新一の前に座る。
一口飲んでほっと一息吐いてから、新一は昨日あったことを哀に話した。
哀が呆れかえった顔をする。

「それで?黒羽君が襲って来なかったからあなたのことを好きじゃないって?」
「そうじゃないけど…でも、」
「でももだってもないわ。黒羽君は確実にあなたのことが好きよ。その気持ちを疑うの?」

哀の正論に黙り込んだ新一は、それでもぽつりと不安を零した。

「快斗は本当に俺のこと好きなのかな…」
「工藤君!!」

剣呑に目を細めた哀に、新一はぽつぽつ不安を零す。

「だって快斗はいつも俺を優しく包み込んでくれるだけで、俺に何も求めて来ない。飯作るのだって、掃除や洗濯だって笑顔でやってくれる。快斗にとって、俺は恋人なんじゃなくて、ただの親友なだけなんじゃないかって…」
「工藤君…」

哀はため息を吐いて考えた。
どうすればこの馬鹿な探偵に真実を教えられるか。
自分が言っただけでは、多分信じないだろう。
哀は視線を巡らせて、あるものを視界に収めた。
そして、思いつく。

「工藤君。いい考えがあるわ」
「ぇっ……」

哀がニヤリと笑うのを、新一は茫然と見た。







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