†マジックショーの怪†




あなたに届けたい
この降り積もるような愛しさを
あなたに伝えたい
この溢れ出しそうな切なさを…



†マジックショーの怪†



「「マジックショー?」」

何時かと同じ、でも人を変えた光景が今日工藤邸で起きた。
新一と哀は不思議そうに快斗を見る。

「そう。文化祭でマジックショーの依頼があったんだ。だからよかったらふたりも」

快斗が差し出したチケットをふたりは見た。
“黒羽快斗の華麗なるマジックショー”

「来てくれる?」
「ああ」
「ええ。楽しみね」

そうして三人で笑いあった。




「じゃあ準備してくるから」
「ドジるなよ!!」
「行ってらっしゃい」
「うん。ちゃんと見ててね」

快斗が駆けていくのに手を振って、新一と哀は会場に入った。
もう直ぐマジックショーが始まるという時に、新一と哀は嫌なものを発見してしまった。
曰わく。

「やぁ。君たちも僕の黒羽君のマジックショーに来たのかい?」
「白馬…」
「……………」

新一と哀はどうやってこいつを穏便に(穏便?)片づけるか瞬時に脳内で計算する。
内心、てめぇ何が俺の快斗だ。
快斗は俺のもんだ!とか。
黒羽君があなたのもの?はっ。
とか思っちゃったりしているのは内緒だ。
新一は立ち上がって、右足を振り落とした。

「…………っ……」
「どうやらこれは必要ないみたいね」
「ああ。わりぃな、灰原」

時計型麻酔銃を懐に仕舞って、哀はため息を吐いた。
その瞬間、マジックショーが始まった。
馬鹿に向けていた意識を一気に引き戻す。
カードマジックから始まり、出現マジックで鳩やうさぎを出したり、消失マジックで消して見せたり。
いつの間にかマジックに引き込まれていた新一と哀は、快斗の声で我に返った。

「それでは、最後のマジックをとくとご覧下さい」

快斗がそう言った瞬間、空から花弁が降って来た。
白い白い小さな花弁。
それにわあっと歓声が広がった。
しばらく降り続いた花弁は少ししたら消えた。

「ありがとうございました!」

大成功だった。

「どうだった?新一。哀ちゃん」
「良かったぜ、快斗」
「ええ、凄く」

新一と哀は笑顔で快斗を出迎えた。
それに快斗は笑顔を返し、家路についた。
大好きだよ、ふたりとも――







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