†信じる心†




何考えてんだ?
まさか本気でそんなこと…
あんな危ない奴
ひとりで相手させられるわけないだろ…



†信じる心†



固まっていたのは数瞬で、新一と哀は直ぐに立ち直った。
快斗の腕をむんずと掴んで今まで新一が寝ていたベッドに座らせる。

「脈拍に異常はないわね」
「熱もないぞ」
「黒羽君。変なもの拾って食べなかった」

てきぱきと動き出したふたりに快斗は茫然とした。
そして、何気に酷い哀の言葉にツッコミを入れた。

「酷いよ、哀ちゃん」
「酷いのはあなたの頭よ。少し静かにしてて」
「そうだぞ、快斗。しかも頬に怪我が…」

そのままベッドの中に押し込まれそうになるのをなんとかこらえて快斗は言った。
真剣な表情にふたりもぴたりと止まる。

「聞いて、新一、哀ちゃん。ユダはもう俺を傷つけたりしない。だから、決着をつけたいんだ」
「あんな危ない奴のどこを信じろって言うんだよ!!」
「そうよ!!あんな…」

哀は、あの時の恐怖を思い出して震えた。
それを心配しながらも、快斗の決意は変わらなかった。
紫暗の双眸がふたりを射抜く。

「大丈夫。俺を信じて…」

新一が真実を見透かす蒼い瞳を快斗に向ける。
それに、哀の悲痛な声が重なった。

「――――快斗、本当に信用していいんだな?」
「工藤君っ――――!?」
「うん。絶対」

確信を持っているような快斗の言葉に新一は純粋な疑問を向けた。
何故信じられるのか?
それが気になった。

「なんで、信じられるんだ」
「――俺と、似てるから…」
「快斗と?」

新一と哀は驚いた顔をした。ふたりに――快斗とユダに、接点なんて見受けられなかった。

「誰も信じられなかった頃の俺と似てるんだ。だから、ふたりで片付けたい」
「わかったよ。快斗を信じる」
「無茶はしないでよね」

もう止める理由はなかった。
ここまで快斗に言わせるのだ。
きっと大丈夫だろう。
それは、信頼の証――。







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