†大丈夫だから†




もう大丈夫
きっとあいつはもう、
俺に手を出したりしないから
だから、行かせて…



†大丈夫だから†



新一と快斗は睨み合っていた。
いや、どちらかというと快斗が新一に睨まれていた。
何故かというと、今日がKIDの犯行予告日だからだ。
前回の組織戦以降、新一はKIDの犯行に過剰に反応するようになった。
快斗があの後ユダのことを何も言わなかったのも原因の一端である。
快斗の自業自得と言えばいいのか、とにかく新一は心配していた。
哀も表情には出さないが内心心配してるのを知っている。
だから…。

「ひとりでなんて行かせられるかよ!!」
「新一…」

快斗はさっきから新一を宥めようとしては失敗する。
それを繰り返していた。

「ユダだって来るかもしれないんだぞ」
「大丈夫だよ…。もう絶対あんなことにならないから」
「でも…」

快斗は食ってかかる新一にゆっくりと近づいた。
気づかせてはならない。
彼にはどんな危険にも晒されて欲しくないから。
それは新一も同じだということは気づかずに――。

「新一」
「快斗、ひとりで行くな!!」
「新一、ごめんね…」
「かい、……」

隠し持っていた催眠スプレーを吹きかけて、気絶させた新一をそっと抱き上げベッドに移動する。
気絶してもKIDのスーツを握り締める手は緩まない。

「ごめんね、新一。心配してくれてありがとう」

でも、これは俺が解決しなきゃいけない問題なんだ。
そっとスーツを握り締める手を振り解く。
眠る新一にそっと口付けて、快斗は踵を返した。
もう後ろは振り返らない。
大丈夫。もういなくなったりしないから――。







[ 57/91 ]
[] []
[list][bkm]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -