†和解†




ひとりで抱えなきゃと思ってた
巻き込んじゃいけないって
でも、違ったんだね
本当は、俺が怖かっただけ…



†和解†



これがあの後あったことだ。
と新一は話を終わらせた。
重苦しい沈黙が流れる。

「兎に角、灰原には礼言っとけよ。ずっとお前の看病してくれてたんだから」
「哀ちゃん、ありがとう…」
「私はあなたの怪我の手当てしかできなかった。お礼を言われるようなことはしてないわ」
「それでもだよ。助けてくれてありがとう」
快斗が笑顔を向けるのに、哀は表情を歪めて何もできなかったと言った。
哀の目の下には隈がくっきりと浮かんでいる。
よく見ればみんな同じような感じだった。
また部屋に沈黙が流れる。
それを破ったのは新一だった。

「…………んで、なんでこんなもん用意すんだよ!!」
「新一……」
「絶対帰って来るって、約束だって言ったじゃねえか…。なのに…なんでだよ!!」

新一の叫びが快斗の胸に突き刺さった。
でも、快斗は解っていたのだ。
ユダのことがあったし、それにいつまでも隠し通せることじゃない。
この瞳は、いつでも危険をはらんでるんだ。
いつか見つかった時に、すべてが終わる…。

「ごめんね、新一。ごめん…」
「快斗……」

泣いてるかと思った新一は泣いていなかった。
やっと間違いに気づいた。
本当に大切だったらやっちゃいけないことだったんだ。
大切だからこそ一緒に立ち向かわなくちゃ。
手を伸ばして抱き締めあったふたりに見守っていた哀は苦笑を浮かべた。

「バカなんだから…」

まったくだと大人たちがこっそり思ったことは内緒。







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