†彼の行方†





不安と焦りで
段々と感覚がなくなっていく
なぁ、おまえは無事か?
ちゃんと帰ってくるよな…



†彼の行方†



外で内部の攪乱をしていた新一と寺井は、何かがおかしいと思った。
敵の数が少ない。
まるでなにか他のことに気を取られているいるかのように。
不安に駆られながら着々と敵を麻酔銃で眠らせていく。
全員眠らせてから新一と寺井は建物を見つめた。
すると、探偵団バッチの改良版(哀としか連絡が取れない)から連絡が入った。

『工藤君。もう直ぐ警察を呼ぶけど平気?』
「ああ。こっちは掠り傷だけだ。でも快斗がまだ出て来てない…」
『大丈夫かしら?黒羽…』

その時、大きな爆発が起こった。
組織のヤツらが証拠隠滅のために爆弾で建物を爆破したのだ。
火の手がもうもうと上がる。

「快斗ッ――!!」

駆け出して建物の中に入って行こうとする新一を寺井が止めた。

「落ち着いて下さい」
「でも、快斗が……。寺井さんは平気なんですか!?」
「平気なわけないでしょう!!」

激情を抑えたような寺井の声に、新一ははっとした。
寺井が顔を歪めて言う。

「平気なわけありません。坊ちゃまになにかあったらと思うと…。ですが、私たちが行ってどうなります?私たちにできることは、坊ちゃまを信じて待つことです」
「寺井さん…」

落ち着きを取り戻した新一と寺井の元に、哀と優作が駆けつけてきた。

「工藤君!!黒羽君は…」

無言で首を振る新一に、哀は悲痛な表情をした。
皆が心配そうに見守る中、無情にも次の爆発が起こった。







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