†覚悟†





絶対に『生きて帰る』
そう誓っているのに、
こんなものを用意してしまって
ごめんね…



†覚悟†



おかしいと快斗は感じた。
快斗は今現在、組織の支部の建物に侵入して情報をコピーしているところだ。
ここに来るまでに何人かの組織の奴らに見つかったが、そいつらはトランプ銃で眠ってもらって置いてきた。
だが、想定していたよりも数が少ないのだ。
内部が俺たち以外の要因で混乱してる。

「新一…」

どうか、無事で…。
そう願いながら快斗は白い戦闘装束を着てパソコンに向かった。
データのコピーが終わり、組織の弱体化を狙ってウイルスを流す。
快斗がIQ400をフルに使って作り上げたウイルスだ。
大きなダメージを組織に与えてくれるだろう。
そうしてその部屋を後にしようとした時に大きな爆発音が聞こえ、建物がぐらぐら揺れた。

「…………なっ……」

それに耐えなんとか部屋を出た瞬間、大きな爆発が快斗を襲った。
弾き飛ばされた快斗は壁に叩き付けられる。
意識が飛びそうになるのをなんとか堪えて、快斗は腕を動かした。
腕は多少痛いが大丈夫そうだった。
問題は足だ。
左足がぴくりとも動かない。
脇腹にも大きな傷がついて、ぽたぽたと血が溢れ流れ出してくる。
動くことができない。
快斗は出て来る前に新一と哀に言われた言葉を思い出した。

『絶対戻って来いよ、快斗。お前の居場所は此処だ』
『無事な顔ちゃんと見せなさいよ』

ぶっきらぼうだけど、優しかった哀の言葉。
新一も送り出してくれたけど、本当は凄く心配してたって気づいてた。
寺井ちゃんだって心配してくれたのに…。

『坊ちゃまに何かあったら盗一様に顔向けできません。必ず帰って来て下さいね』

心配してくれた彼らの為に、帰らなきゃ…。
でも、快斗は覚悟を決めていた。
もしもの時は――。
快斗は懐に仕舞われているものを大切そうに握り締めた。







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