†休息†





好きだよ
陳腐で安直な言葉だけど
本当に心から
そう思うことができる…



†休息†



森の中を歩いて行くと、少し離れた開けた場所に湖があった。
そこまで歩いてきた快斗と新一は、綺麗な景色に目を奪われた。

「綺麗だね」
「ああ、そうだな」
「哀ちゃんも連れて来れば良かったね」
「……ああ、そうだな」

新一は少し拗ねたように素っ気なく答えた。
それに気づいた快斗はくすりと笑って言った。

「勿論、新一とふたりきりで来れてうれしいよ」
「……快斗////」

赤くなった新一の額に、快斗は口付けを贈った。
ますます赤くなって手を振りかざす新一に、快斗は笑って逃げた。
そうして靴を脱いで湖に入って、手で水を掬った快斗は新一に水をかけた。
冷たいとしばらくはしゃいだ後、ふたりは近くの岩場で休憩した。
水が滴る新一を、目を細めて見ていた快斗は、ぐいっと新一の腕を引っ張った。

「新一」
「かい……」

ふたりの影が重なって、ゆっくりと離れた。
言葉では表せない程君のことが好きなんだ。
すべての想いをキスに込めて…。
その時一瞬見せた快斗の切なそうな顔が目に焼き付いて――。

「好きだよ、新一」

ただ、ただ茫然としていて、返事を返すこともできず、ただぎゅっと抱き締められた。







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