†崩壊†
どうか、どうか
無事でいて
信じてもいない神に
祈りを捧げた…
†崩壊†「時間ってなんですか?あなたの目的は…」
快斗が慌てて問うのに対し、ユダは余裕そうに答えた。
「本当は極秘だがな…。特別に教えてやろう。今回は、この建物の破壊と矢島研二の暗殺が依頼だ」
「……矢島研二…?何故…」
「これ以上は答えられん。とにかく関係者は殺せと言われている」
ユダの言葉に快斗は思わず叫んでいた。だってそこには…。
「止めろ!!殺すな!!」
その反応に、ユダは楽しげな笑みを浮かべた。
それに益々嫌な予感が募る。
「大切な奴でもいるのか?まぁいい。お前だけは生かしておいてやるよ。大切なものが死んだときのお前が見物だな」
ユダは快斗の顔色が悪くなるのを笑って見ていた。
そして、去っていったユダに快斗は走り出した。
新一がいるであろう研究所に向かって。
――――新一っ!!
「早く外へ逃げろ」
早くも崩れ始めた研究所内を新一は誘導しながら走っていた。
ぱらぱらと崩れ落ちてくるコンクリート片に悲鳴が上がる。
「きゃぁぁぁぁっ」
「うわぁっ」
「止まるな!!早く」
新一はなんとか研究所の外に近づいてきたところで、やっと矢島研二を捕まえた。
「矢島さん」
「な、なんだい」
外に出ながら話かけていると、前を走っていた男が急に倒れた。
新一は一瞬で狙撃だと判断すると、辺りを注意深く見回した。
男に近づいて銃痕を調べていると、次々と人が倒れていく。
頭を一発で仕留められていた。
「矢島さん。中へ」
「わ、わかった」
中へと隠れて矢島と向き直る。
こんな時に訊ねるのもあれだが、仕方ないだろう。
「矢島さん、あなた犯罪を犯してますね」
「な、何を言うんだ。そんなわけ…」
「ないと本当に言えますか?」
「………………」
黙り込んでしまった矢島に話を聞き出そうとした瞬間、叫びが耳に飛び込んで来た。
「危ない――!!新一」
その言葉と同時に建物が爆弾によって爆発した。
ガラガラとコンクリートが砕け散る音がした。
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