†作戦決行†





無事に帰ってきて
怪我しないで
自分のことよりも
あなたのことが心配だから…



†作戦決行†



「新一…」
「快斗?」

潜入する前に、快斗は新一を抱き寄せた。
本当は来て欲しくない。
だけど、これは新一の問題だから…。
新一が関わった事件だから。
だから、どうか。

「無事戻ってきて」
「ああ。絶対だ」

ふたりは頷きあって建物の中に入っていった。
快斗がまず最初に向かったのは資料室だった。
そこで新入社員に化けてめぼしい情報を探っていると、誰か人が入って来た。
快斗は入って来た人物を見て内心ぎくりとする。

「こんにちは。あなたも資料を取りに?」
「は、はい。あなたもですか?」
「ええ」

変装しているが、間違いなくユダだった。
快斗は怪盗をしているからすぐに見破れた。
大方めぼしい情報は手に入れた。
だから、取り敢えず早く逃げなければと、快斗は持ってくるように言われていた資料を手に取って部屋から出て行こうとした。
瞬間、ナイフが飛んできて間一髪でそれを避けた。
その動きにユダがピクリと反応する。

「お前、ただ者じゃないな」
「いえ、ただの一般社員です…」

そんな言葉を聞いてくれる相手じゃなかった。



一方新一は矢島研二のところに来ていた。
特になんの特徴も目立ったところもない男だ。
新一はなかなか矢島に近づくことができず焦っていた。

「作業は捗っているかね」
「はい」

新一は所部長に話しかけられて、まんじりとしながら時を過ごす。
あれから、結構時間が経った。
快斗の方は大丈夫だろうか?
なんだか嫌な予感がして新一は作業に集中できない。







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