†お祝いしましょ!!†





今日は世界で一番大切な日
だから、みんなでお祝いしよう
あなたが生まれてきてくれたことを、
感謝する日だから…



†お祝いしましょ!!†



夏至、一年で一番昼が長い日。
今日は生憎の曇り空で雨が降りそうな日だった。
新一と哀と阿笠博士は、三人で快斗の誕生日パーティーの準備をしていた。
快斗は現在部屋で待機中である。

「哀君。これはここでいいかのう?」
「ええ。次はこれをお願い」
「灰原、これは?」「それは、こっちよ」
「サンキュ」

リビングの中をパタパタ動き回る三人。
その時、平和な時間を切り裂く無粋なチャイムの音が響き渡った。

ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン…

新一と哀は顔を見合わせてふたり揃って走り出した。
玄関のドアを乱暴に開くと、薔薇のきつい香りが漂って来た。

「誕生日おめでとう、黒羽君。僕の愛(気持ち)を……」

バキベキッと新一の黄金の右足が訪問者の肋に炸裂した。(ベキッ?)
倒れ伏す白い物体と散らばる赤い薔薇を冷たく見下ろす新一。

「く…ろ、ば…く……」

バタリと白馬が堕ちたところに、快斗の呼びかけが聞こえて来た。

「哀ちゃ〜ん。新一〜。何事?」
「何でもないわ。只のしつこいセールスよ。あなたはそこから出ないで」

階段下にスタンバイした哀が、快斗の相手をしている隙に白馬を隣に運んだ。
ガムテープで雁字搦めにして。

「じゃあ、俺が追い払おうか?みんな忙しいでしょう」
「もう大丈夫よ。追い返した(ぶちのめした)から。(あなたが不愉快な思いをする必要はないわ)」
「そう?ならいいけど…」パタンと快斗が部屋へ戻って行った。
言葉の裏には全く気づかなかった快斗に取り敢えず哀は安堵した。
それから気を取り直して腕を奮って料理を作り、快斗を呼んで誕生日パーティーを開いた。

「「「誕生日おめでとう!快斗(黒羽君)」」」
「ありがとう、みんな」

哀が作った料理とケーキを食べて、みんなでわいわい騒いだ。

「美味しかったよ、哀ちゃん」
「あら、黒羽君の料理には負けるけどね」
「たしかに快斗の料理は美味いもんな」
「そうじゃのう」
「ありがとう////」

暫く和やかな時間を過ごした後哀たちは帰って行った。(玄関まで送って行ったら何故か薔薇の花びらが散っていた)
嬉しそうな哀を微笑ましく見守る快斗と阿笠博士。(新一も何やら考えているようだ)
リビングに戻った新一は快斗に珈琲を淹れてやった。

「ほら」
「ありがと」

沈黙がリビングに流れる。
快斗の温かい嬉しそうな雰囲気に押されて、新一は快斗にプレゼントを渡した。

「これ、やる」
「え?これって……」

新一がぶっきらぼうに快斗に渡した包みにはペンダントトップが入っていた。
平らな四角いシルバーのプレートに十字架模様が刻まれていて、右下に月と星が彫られている。
その月の中に透明な宝石が埋め込まれていた。

「ありがとう、新一……」

ダイヤモンドには、幸福を呼び魔除けの効果があるという。
危険がいつでもつきまとう場所にいるから、少しでも禍が遠ざけられるように。
そう願ってこれを選んだ。
快斗は柔らかく笑ってそっぽを向いている新一の顔を此方に向けさせた。
真っ赤に染まった顔と耳がかわいい。

「ね、つけていい?」
「ああ////」

快斗は首につけていたネックレスを外し、指輪の隣にそれを通す。
新一の首にも同じデザインの同じ宝石がついたペンダントが…。

「ふふ、お揃いだね。似合う?」
「バーロ////」
「好きだよ、新一」
「……俺も」

どちらからともなく顔を寄せ合って、ふたりは啄むような口付けを何度も交わした。
幸せな時を少しでも多く過ごせるように願いを込めて…。







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