†爽やかな朝†





本当は、まだ休んでて欲しいんだ
でも、それが無理なことは
俺たちが一番よく知ってるから
だから、どうか無理をしないで…



†爽やかな朝†



「よし、準備OK!!」

あれから一週間学校を休んだ快斗は、今日から学校に通う。
哀からも許可が出て(本当はまだ休ませたかったが色々考慮した結果仕方なく許した)、快斗は晴れて動くことができるようになった。
一週間寝たきりで過ごした快斗は、少し身体が鈍っているようだけど、比較的順調に回復している。
因みに、絶対安静の間は哀が工藤邸の家事を取り仕切っていた。(主に炊事・洗濯・掃除)
余談だが、新一がやろうとしたらご飯は炭にして、洗濯は泡だらけで洗濯機を詰まらせ、掃除は水をぶちまけて逆に散らかすという大惨事になった。(普段全部してくれている快斗の偉大さを知った)
ついでに、快斗を絶対安静にしたことを寺井に褒められたのはまた違う話である。

「…………ねぇ、新一……?」
「快斗どうかしたのか?具合悪いか?平気か?」

東都大の前まで来たら、快斗が不思議そうに話しかけてきた。
それに、てっきり具合が悪くなったのかと心配そうに新一が立て続けに質問を浴びせる。
出る前に、哀からくれぐれも無理をさせないようにと言われた新一は、新一自身も言われる前からそう思っていたので任せとけと請け負った。
だから余計に快斗が無理をしてないか心配なのだ。
普段快斗は、ポーカーフェイスで全てを隠してしまうから…。
それが悪いことだとは言わない。
快斗にとってそれが必要なことだったのは分かってるから…。
でも、少しだけでいいから俺の――俺たちの前でだけは弱音を吐いて欲しいと願ってしまうのは悪いことなのかな?

「いや、別に大丈夫だけど……。あのさ、白馬と服部がいないんだけど……」
「ああ、そのことか」

そう、学校名物黒い鳥と白い馬の出迎えがなかったのである。
白馬と服部の名前を出した途端に新一の機嫌が悪くなった。
それにしても静かな学校の門の前とは、ある意味不気味な光景である。

「あいつらは……暫く来ないから」

にっこり笑顔で言い切った新一。
ここだけの話、実は某鳥と馬はある場所で実験た……いえ、健やかにお休み中である。
いつか日の目に戻って来ることでしょう。

「そうなんだ」
「ああ、ところで快斗。授業終わったらどうする?」
「あ、うん。研究室に来てくれる」

あっさり納得した快斗は、話をすり替えられたことに気づかない。
授業が終わった後の集合場所を決めながら、快斗と新一は歩いた。
快斗は入学してから直ぐに個別の研究室を与えられた。(本当は三年生からなのだが、快斗の頭の良さとマジックの実績から特別に与えられたのだ)
そこがふたりの待ち合わせ場所としてよく使われている。
こうして快斗が無理することなく平和に一日が過ぎていった。







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