†始めよう†





今日は記念すべき
新しい日常の始まり
これからも
一緒に頑張ろう…



†始めよう†



今日は大学の入学式。
朝から快斗と新一は準備して東都大に向かった。
式典は退屈なものだったけど、新入生総代で答辞を述べる快斗が式をマジックショーに変えてしまって大騒ぎになった。(合格発表の時にあったごたごたの一つ)
快斗のマジックはいつ見ても楽しい。
今日の朝、「楽しみにしてて」と笑って言ってたのはこのことだったのか。新一は今までの眠気も吹き飛び快斗のマジックに釘付けになった。
兎にも角にも今日のことは、これからも語り継がれていくことだろう。
式が終わってやっと解放された。

「新一!!」
「快斗…」

快斗が此方に向かって走ってくるのを新一はそこで待った。
周りには人垣ができてしまっている。
無理もないだろう。
片や、入試に満点合格したと噂(合格発表ごたごた2つめ)の天才マジシャン黒羽快斗と片や、日本警察の救世主と名高い名探偵工藤新一である。
しかも、その二人が知り合いときたら騒がない方がおかしいだろう。

「どうだった?俺のマジックショー」
「凄かったぜ。最高だった。でも怒られなかったのか?」
「大丈夫だった。逆に素晴らしいって褒められた」

快斗の心配をする新一に、快斗が笑ってVサインを出した。
それにホッとする暇もなく、いらないものはやって来るものである。

「「工藤(黒羽君)!!!!」」
「「げっ…………」」

快斗と新一が同時に振り返ると、服部と白馬が人並みを掻き分けてやって来た。

「工藤、なんで法学部やないんや」

そう快斗は工学部、新一は心理学部にそれぞれ合格していたのだ。新一を追いかけて来た服部にはたまったものではない。
補欠で合格したくせに文句が多い男である。

「うるせえ。てめえに関係ないだろ」
「黒羽君。この後暇ならご一緒に…」
「すっげえ忙しいからパス」

新一が服部の相手をしている間に白馬が快斗に誘いをかけていた。
速攻で断られたが…。
白馬の気持ちに全く気づいてない快斗にヤキモキしながら、服部の相手をする。
それでもしつこくまとわりついてくる服部と白馬に、遂に新一の我慢の限界を越えた。

バキッ グシャッ

その場にいた人たちは見た。
新一の黄金の右足が走る瞬間を。
快斗は「あ〜あ」と額に手を当てた。

「新一、新一」
「なんだ?快斗」
「周り見て。周り」

ぐるりと見回すと遠巻きに見る人たちが溢れかえっていた。
それに、ひくりと表情を歪めた新一に快斗が追い討ちをかける。

「俺たちちょー目立ってる」
「……………そうだな」
「これ、どうするの?」

そこにはぴくぴく動くナマモノ。
この後、快斗と新一は哀に電話して博士に迎えに来てもらったらしい。
実験台と引き替えに…。



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