†始まりの時†





ずっと側にいれることが、
すごく嬉しくて幸せで…
些細なことが、
まるで夢みたいだ…



†始まりの時†



快斗は、毎日少しずつ荷物を工藤邸に移動していった。
何故か母さんには既に話が通っていて、幸せになりなさいよと家を追い出された。
新一のことを紹介してはいたが、まさか2人で連絡を取り合ってるとは思わなかった…。
いい人を見つけたわね…って母さんに言われて少し照れくさかったけど嬉しかった。
俺と新一の関係を認めてくれたってことだから…。
粗方の荷解きが終わってリビングに降りると、新一と哀がお茶をしていた。

「終わったの?黒羽君」
「うん…」
「お疲れ様」
「おつかれ。珈琲飲むか」
「ありがとう。うん貰う」

哀と新一が交互に労を労ってくれて快斗はお礼を言った。
新一が珈琲を淹れにいくと、快斗は新一が座っていたところの隣に座った。
向かいに座った哀がくすりと笑う。

「どうしたの?哀ちゃん」
「実はね、私たちあなたが素直に引っ越して来るなんて思ってなかったの」
「なんで?」
「だって、あなた私たちを巻き込みたくないってまだ思ってるでしょ?だから…」
「確かに俺はみんなを巻き込みたくない。でも、それ以上に新一や哀ちゃんの側にいたかったんだ」

快斗はにっこり笑ってそう言った。
哀はそれを眩しそうに見つめる。

「哀ちゃんたちの気持ちが嬉しかった。一緒に戦ってくれるって。側にいるって。だから、俺の居場所は此処だよ」
「忘れないでね。私たちの気持ち」
「うん…」

そこに、新一が戻って来た。
珈琲(どちらかというとカフェオレだ)を快斗に渡して新一は2人に問いかけた。「なに話してたんだ?」
「ないしょv」
「内緒よ。工藤君」
「何だよそれ。教えろよ」

内緒〜と快斗と哀は話をはぐらかし、それを聞いた新一が腹を立てている。
それを見て、快斗と哀は腹を抱えて笑った。
新一が笑われて拗ねるのを2人で宥めすかす。
そうしてひとしきり笑いあった後、快斗は新一と哀に言った。

「今日からよろしくね」
「「こちらこそ、よろしく」」

顔を見合わせて哀と新一が同時に答える。
それにまた3人で笑った。
温かい時が流れる午後のティータイム。
これから、一緒に時を刻んで行こう。
たとえ、どんなことがあっても…。







[ 25/91 ]
[] []
[list][bkm]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -