†チョコレートをあなたに†





世の中が甘い色に染まる季節
沢山のラッピングされたチョコレート
甘い甘いチョコをあなたにあげましょう…
あなただけ、特別に…



†チョコレートをあなたに†



2月に入ると、街中がバレンタイン色に染まる。
ここにもまたひとりそれを悩んでいる人がいた。
新一は悩んでいた。
日頃から世話になっている彼にチョコレートを渡すか渡さないか。
食事の世話から掃除・洗濯まで、全てやってくれる彼――黒羽快斗にチョコを渡していいものか分からないのだ。
ということで、灰原に相談してみた。

「バレンタインにチョコレート?」
「ああ、あいつそういうイベント好きそうだろ?だから…」
「もしかして、工藤君。黒羽君のこと…」
「べ、別にそんなんじゃ////ただ、いつも世話になってるし」

哀にからかわれて新一は真っ赤になってもごもご言い訳を口にする。
だから、その可愛さはなんなのだと哀は言いたくなる。

「私もバレンタインの用意があるから一緒にする?たまには作ってみるのもいいんじゃない?」
「ああ////」

本当に素直じゃないんだからと思いながら哀は一緒にバレンタインのチョコを作った。
新一のはお世辞にも上手とは言えなかったが、想いは詰まってるから上出来だろう。



そんなこんなでバレンタイン当日。
快斗はなんと、沢山のチョコレートをもらって来たのである。
新一はそれを見て、俯いてチョコレートを隠してしまった。
哀は怒りを覚えて快斗に詰め寄った。

「黒羽君。そのチョコレート…」
「うん、あのね。みんながチョコの日だからくれたんだ」

嬉しそうに言う快斗に、新一と哀は唖然とした。チョコの日?なにそれ?である。

「黒羽君。今日はバレンタインよね」
「バレ?……バレンケンシュタインってなんだ?」
「「……………」」

一瞬の沈黙の後、哀が大爆笑した。
新一に至っては呆れてものも言えない。

「…っぷ……あははは…バレ、バレンケンシュタインって…あはは…」
「な、なんだよ2人して。だって今日はみんながチョコくれる日だろ?だって学校のみんなも白馬だって」
「「白馬?」」

不穏な空気が流れた。
ちょっと見せろと言われて快斗はこくこく頷いて袋を渡した。
中には、「黒羽君好きですvv白馬」と書かれた紙が付いているチョコレートが。
新一はそれをぐしゃりと握り潰して、哀はそれを燃やしてごみ箱に捨てた。
なんだか胸がムカムカしてムカついていた。
それを恐々見ていた快斗は新一と哀に恐る恐る話しかけた。

「あの、哀ちゃん。工藤?」

その後、快斗はみっちりとバレンタインについて教えられ、2人からチョコレートをもらったらしい。







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