†そばにいるよ†





なぁ、なんで逃げようとするんだ?
お前は、俺の友達だろ…
いなくなろうとなんてするなよ…
そんなこと、絶対許さない…
俺は、お前の側にいたいから…



†そばにいるよ†



時は少し遡る。
新一は快斗の母親に紹介してもらった寺井さんのところに電話をかけた。
すると、あっさり快斗の居場所が分かった。
急いでそこに向かう道中に、車の中で新一は哀に尋問されていた。
快斗との間にあったあんなことに関して。
新一は恥を忍んで哀に意見を聞くことにした。

「そう、つまり黒羽君にキスされた訳ね」
「うう、そうだよ」

新一の顔は耳まで真っ赤で目が潤んでいて、その可愛さに哀は目眩がした。
黒羽君はこれに騙された訳ね…。
はあ、と溜め息を吐きながら、哀は遠い目をした。

「そのことに関しては、黒羽君自身に聞きなさい」
「なんでだよ。相談に乗ってくれるんじゃなかったのか!?」
「それは、本人に聞かなければ意味はないわ」
「〜〜〜〜っ////」

というやり取りをしている間に阿笠博士の「着いたぞぃ」という言葉と同時に車を飛び出して全力疾走した。
という訳で前回の最後に戻る。



「黒羽、てめぇ〜〜っ」
「…………」

どんな謗りも受けようと、快斗が身構えていたら、新一は真っ赤になって訳の分からないことを言い出した。

「お前があんなことするから、俺が恥ずかしい目にあったんだぞ。責任取れ」
「へっ?」
「なんでも黒羽君。あなた、工藤君にキスしたらしいじゃない」
「なんと坊ちゃま。やりましたな」

寺井の発言は敢えてスルーして、哀の言葉に快斗は驚いた。新一が話したとは意外である。
大方墓穴でも掘ったのだろう。(←大正解)

「あのキスどういう意味なんだよ」
「俺が、工藤を好きって意味だよ」

周りにギャラリーがいる中での告白。
やる気も気力も半減である。
新一は、好きの意味を理解して真っ赤になって口をぱくぱく開けたり閉めたりしている。
その空気を割る声がした。

「それで、黒羽君はKIDだったみたいね」
「そうだよ」
「助けてくれてありがとう」

その言葉に驚いて顔を上げると、綺麗な笑顔にあった。

「側にいろよ。俺たちの」
「だって、俺ずっと騙して……」
「私はあなたの側にいたいわ。騙してたことを悪いと思うなら、側にいて」
「一緒にいようぜ。俺たちはお前の味方だ。今度は俺たちが助ける番だ」
「――ありがとう」

心からの笑顔でお礼の気持ちを伝えた。
ありがとう、受け入れてくれて…。
これからも、よろしくね…。







[ 15/91 ]
[] []
[list][bkm]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -