†交わる境界†





ついにバレた…
もうダメだって思った…
こんな俺に、幻滅したよね…
傷つけたよね…
騙し続けてごめんね…



†交わる境界†



あの後、逃げて辿り着いたのは、KIDの隠れ家のひとつ。
寺井ちゃんが中で出迎えてくれた。
何ひとつ聞かずに怪我の手当てを手伝ってくれる寺井ちゃんに、心から感謝した。

「坊ちゃま」
「何、寺井ちゃん?」
「こんな時くらい人に頼ってもいいんですよ。一人で抱え込まなくてもいいんです」

優しい寺井の言葉に、快斗はうなだれた。
快斗は怪我の手当ても自分で殆どやっていたのだ。
今だけ、少し弱音を吐いてもいいかな?

「……工藤に、KIDの正体がバレたんだ」
「そうですか」
「俺の――黒羽快斗のことを消そうと思う」
「私は、何処までもあなたに着いて行きますよ」

寺井の気持ちは嬉しかった。
でもきっと、俺は全てを捨てて行くんだろう。
何もかも切り捨てて、もう誰も傷つかなくてすむように。
その為に、黒羽快斗の全てを消す準備をして来たんだから…。
エンターキーを押せば全てが消える。
それこそが誰かを傷つけるのだと気づかない振りして…。
だから、笑顔を向ける。
自分にできる最高のポーカーフェイスで…。

「ありがとう」

受け取ってあげることができなくてごめんね…。
その時、ドアを叩く激しい音がした。
寺井がドアを開けに行くと、そこにいたのは新一と哀だった。
急いで来たのだろう。
激しく肩を上下させて、靴を脱ぐのも煩わしいような様子で部屋の中へ入って来た。

「「黒羽(君)!!!!」」
「…工藤、哀ちゃん……」中途半端にKIDの衣装な快斗の前に、新一と哀は掴みかからんばかりの勢いで立ちふさがった。
ただ快斗は驚き硬直するだけだった。







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