†変わらない態度†





何を考えてるんだろう…
あれからお前はいつも通りで、
どうすればいいのか分からない…
このままなかったことにしていいのか?



†変わらない態度†



あの日から、黒羽はいつも通り約束したら遊びに来て前と変わらない態度で接して来る。
それに俺は、戸惑いを覚えていた。
でも、気構えていただけに次の日に黒羽に会った時、普通に対応されて戸惑うと同時にホッとしたんだ。
今日も灰原と楽しそうに話してる。
それを本を読みながらそっと盗み見る。
唯一の救いは、受験が終わったからと警察の依頼が入るようになって忙しくなったことか。
まだ補習(二年の時の長期休学が原因)は続くけど、一先ず良かったとしよう。
脱線したが、とにかく考える時間があまりないというのはいいものだ。

「――工藤君」
「工藤、どうしたんだ?」

哀と快斗が新一に心配そうに話しかける。
悩みのタネを恨めしそうに見ながら、新一は快斗と哀に笑いかけた。

「何でもねーよ。それで、何だ?」
「だから、夕飯だってば…」
「やっぱり聞いてなかったのね…」

はぁと哀に呆れられて、快斗は苦笑を零した。
それに新一はムッとした顔を向ける。

「夕飯がなんだよ」
「みんなで食べようって話してたんだ」
「それで、工藤君は何が食べたい?」

いつの間にか、博士と哀、快斗に新一で一緒にご飯を食べることになっていたらしい。
とにかく、全て忘れて今は楽しく過ごそうと思った。
それが、逃避行動だとは気づかずに…。

「じゃあ鍋にしようぜ。鍋」
「よし、肉にしよう!!」
「ああ、さ……」
「わああぁぁぁぁ――――!!!!」
「それじゃあ、お肉にしましょうか」

快斗が新一の言葉に聞こえない聞こえないと叫ぶのをさらりと無視して、哀はさっさと決めた。
それに快斗が情けない顔で叫ぶ。

「酷いよ哀ちゃん。止めてよ!!」
「あら、止まってるでしょう」
「悪かった、黒羽。もう言わねーよ」

うう、酷いよと床にのの字を書く快斗に新一と哀は笑った。
驚いた。灰原が声を上げて笑っているところを久しぶりに見た。
そういえば、快斗がいる時はよく笑っている姿を見かける。
それも、快斗の影響だろう。
温かくて明るい優しい空気を持っているから、それが周りにも伝わって場の空気が明るくなるのだろう。
拗ねていた快斗もいつの間にか一緒になって笑っていた。

「じゃあ買い物に行くわよ」
「「うん(ああ)!!」」

その日は一緒に買い物に行って、ご飯を食べて楽しい1日だった。
その頃には、全部――あの日あったことも――忘れていた。
だから、気づかなかった。
快斗が、帰り際に一瞬だけ哀しそうな瞳をしていたことに…。







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