†何気ないこと†





こんな風に何気ない日々を過ごせるのが
とても幸せで…
時々怖くなる…
いつか、この平和が壊れてしまう瞬間が…



†何気ないこと†



「あなたたち受験勉強しないの?」

哀に聞かれたたった一言から、俺たちは何故か勉強することになった。
遡ること30分前。
上記のように尋ねられて、新一と快斗は顔を見合わせた。

「だって、俺たち…」
「なぁ…」
「「勉強する必要ないし(もん)!!」」

世の中の受験生が聞いたら殺気立つこと間違いなしの言葉を、さらりと口にした2人に哀は一気に脱力した。

「あなたたちね…。せめて形だけでも」
「でも、黒羽は全国模試一位だぜ?今更何勉強すんだよ」
「工藤だって二位じゃんか!!」
「俺はな、毎回模試で満点取るような化け物みたいな頭してないんだよ!!」
「酷いよ。IQ400あるだけだもん!!」

ぎゃあぎゃあ言い争いを始めた2人に哀は溜め息を吐いた。

「工藤君。黒羽君」
「「……………」」

まさに鶴の一声。
2人は哀の不穏な空気を敏感に感じ取って、居住まいを正し、正座して哀に向き直った。
恐怖に少し震えていたのはご愛嬌だろう。

「受験勉強をしなさい」
「「ぇっ………?」」
「偶には普通の学生らしいことをしたらどう?」
「「はい、そうですね……」」

ここで、哀も小学生らしくした方がいいんじゃないかとは言ってはいけないだろう。
間違いなく新薬の実験台にされるのがオチだ。
俺たちは、まだ死にたくない。
こうして、俺たちは勉強を始めた。

「なぁ、工藤…」
「なんだ、黒羽?」
「俺たち、何やってんだろうね」「言うな、黒羽」

とにかくリビングの机に教科書を出して勉強している。
この30分間で学んだことは、哀に逆らってはいけないということだけだろう。
教科書の内容は、ぶっちゃけ全部知っていた。

「でも…」
「ん?」
「こうやって普通に勉強したりするのも楽しいよね」
「――あぁ、そうだな」

その時見せた快斗の笑顔はとても綺麗で、新一は苦笑を返した。
こうしていつまで過ごせるのかな?
一緒にいたいと願うのは、ダメなこと?
今はまだ、側に…。







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