†いけないことですか?†
悪いことと良いことの違い
本当は分かってるんだ
これは、悪いことだって…
いけないことだって…
でも俺には、
他に方法が思いつかなかったんだ
†いけないことですか?†快斗と新一は哀を誘って街に買い物にやって来ていた。
ウィンドウショッピングをしながら街中を歩く。
新一と哀は人混みの多さに嫌そうな顔をしながら歩いていた。
唯一楽しそうな快斗は明るくにこにこ笑っている。
「おめぇなんでそんなに楽しそうなんだ」
「元気ね。黒羽君」
「だってね、哀ちゃんと工藤と一緒にお出かけできて凄く嬉しいんだ!」
げんなりしている哀と新一に、前を歩いていた快斗は振り返って笑顔でそう言い切った。
それに新一と哀は驚いた顔をして、次いでおもばゆいような温かい気持ちになった。
2人は顔を見合わせて、照れたように微苦笑を浮かべた。
「ねぇ、工藤、哀ちゃん。これ見て!!」
快斗が何かを見つけたようで、早く早くと急かしてきた。
その無邪気な笑顔に新一と哀は微笑んで快斗の元へ向かう。
「なんだよ黒羽」
「なあに、黒羽君」
「これ見てこれ」
快斗が指差していたのは青と赤と紫の宝石がついたクローバーのストラップだった。
サファイアとルビーとアメジストがそれぞれついたそのストラップは華美過ぎずシンプルで、新一と哀も綺麗だと思った。
「ねぇ、綺麗でしょ?」
「ええ、そうね」
「綺麗だな」
「つーわけで、店員さ〜ん。これくださ〜い」
「「えっ……」」
突っ込む暇も与えずに、快斗はそれを買ってしまった。
なんでも一点ものらしくこの三つしか同じものはどこにもないらしい。「はい、哀ちゃん、工藤」
「ありがとう////」
「サンキュ////」
哀にはルビーのを、新一にはサファイアのを渡した。
自分にはアメジストのを。
哀のはイメージカラーというかなんだか似合う赤色を。
新一と自分には瞳の色と同じ青と紫のものを買った。
いつか、いなくなると思う俺はこうして思い出が欲しかったんだ。
君たちと共にあれたことへの思い出が…。
そう言ったら、君たちは笑うかな?
そうしていると、街頭のニュースでKIDの予告が出たと報道していた。
街中の視線がニュースに集まる。
「KIDカッコいいよね〜」と女の子たちが騒いでいる。
新一と哀の視線が鋭くなる中、快斗がポツリと言った。
「KIDは犯罪者なのにね…」
「ぇっ?」
自嘲気味な快斗の声は風に流されて消えていった…。
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