無垢な紫が、真っ直ぐに新一を射抜く。
不思議そうな表情があどけなかった。
「――――だれ……? どうやって入って来たの?」
「……お、れ……は…………っ」
干からびた口から答えを絞り出そうとした瞬間、激痛が背中にまた走った。
先程痛みを感じた場所だ。
痛みに膝を付く新一を、“彼”は心配そうに見詰めていた。
助けたくても快斗には助けることはできない。
何故なら此処は、快斗の力を封じ込める場所だから――。
「………っ、だい…じょ、ぶ…か?」
「…………っ、あ、ぁ……っ…わりぃ」
痛みが引いて冷や汗を拭った新一は、快斗に向き直って眉を顰めた。
牢の中に閉じ込められた青年。
こんなに綺麗な人を閉じ込めるなんて最低だ。
新一は激しい怒りを覚えた。
「オメー、何でこんなとこに居るんだ?」
「“俺を封じるため”だよ。見ればわかるだろ?」
当たり前のように答える快斗に、新一ははっとした。
この世界の言い伝えを思い出した。
「オメー、まさか……」「俺は“キッド”。おまえは?」
“偽りの”名を名乗った快斗に、新一は目を奪われた。
温かい日溜まりのような淡い笑顔。
この笑顔を、そばで感じたいと思った。
連れ去りたい。
この暗い闇の中から。
だから――。
「俺と、一緒に来ないか?」
そう手を差し伸べたのに、理由なんてない。
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ネタが定まらない謎。
早く定めないと迷走する予感(爆)
2011/11/03 23:38